【必読、宇都宮先生が解説する「官能評価とフレーバーホイール」!】

 官能評価の第一人者、東京国税局課税第二部 宇都宮仁・鑑定官室長は24日、東京・五反田で開催された「泡盛サイエンスセミナー ~泡盛の香りを楽しむ教養講座~」(主催:沖縄国税事務所)において、「酒類の官能評価とフレーバーホイール」というテーマで講演。日本酒ファンにとっても、実に役立つ内容でした!

 まず冒頭、普段、よく使う「利き酒」という言葉。広辞苑では「酒の良否を鑑定すること。またそのために味わってみる酒」とありますが、「人間の視覚、嗅覚、味覚を通してお酒を評価すること。つまり、『官能評価』なんですね」とのこと。目的は「市場調査」「商品開発」「品質管理」とさまざまですが、呑兵衛が個人でやれば「利き酒」、行政やビジネスでやれば「官能評価」ってことでしょうか。お酒を飲むことを「私的官能評価」と言えば何だか言い訳じみていますが…(今度から「飲み会」のことを「官能評価会」と言おう//)。

 その測り方には次の2つがあるそうです。
【分析形】 「人の感覚を使ってモノの特性を測る」。ジャッジする人は一定の基準を満たした鋭敏な感覚が必要で、自身の好みを排除した評価を行います。いわゆる鑑評会の審査員ですね
【嗜好形】 「モノを使って人の感性を測る」というもの。いわゆる大箱イベントなどを開催して商品の好き嫌いを判断してもらうというもの(=もちろん、ファンを増やすという目的が根底にはありますが)

 ただ、官能評価といえば、やはり分析形。そして、その方法には「3点識別法」「1対2点識別法」「記述法」などいろいろあります。例えば、大吟醸などは記述法による結果をレーダーチャートにすれば、図のように、そのお酒の個性が具体的に見えてきますね。

 「におい」や「味」の質を言葉で説明するには、味では「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」の5つの基本から、さらに共通に理解される味の表現をもって細かく分類していく必要があります。

 これを図で表したものは、ワインの世界では以前からツリー方式があり、これは「におい(Fragrance)」を「Fruity」「Nuts」「Spicy」「Woody」「Other」に分類、さらに「Fruity」なら「Berry」と「Dried」と、どんどん細かく分類していくもの。最近は地下鉄路線方式(WINE DESCRIPTIONS)という分類があり、宇都宮氏はこれがお気に入りとのことです。


120+ Wine Descriptors

 その各用語間の分類を最もわかりやすくしたのが「フレーバーホイール」。近い特性は隣り合うようにして、階層構造によって中心に近いほど概念的で外側になるほど具体的になっています。これには「ワイン」、「日本のワインアロマ」、「ビール」、「スコッチウイスキー」、「大麦焼酎」、「泡盛」「醤油」などがあって、図の「清酒」は宇都宮氏が2006年に自ら作成したものだそうです。

(独)酒類総合研究所(2006)

 こうした専門家による総合評価はお酒を造る上でとても重要なポイントですが、問題点もあるとのこと。それが「専門家」と「消費者」との間に見られる差異。「専門家はそれぞれのお酒を客観的に分析しますが、AとBの2つのお酒のどこに特徴があり、差があるのかは判断しません。つまり、造り手が真の知識と思った造り方をしても、各々自分なりの嗜好を持っている消費者には、必ずしもストレートには伝わらないのです」。

 どんなにデータ的に優れていても、呑兵衛にとっては単なるデータ上のこと? 結局は自分の好み、贔屓のお酒が一番美味しいということ…。造り手と飲み手の間には、いろいろな“変数”が介在するだけに、「評価」には難しさがつきまといますが、お酒の共通尺度を知ることが、より充実した”お酒人生”にもつながる? 

 そういう意味では、消費者の嗜好を活かしながら、お酒由来の特徴にも消費者が興味を持つためにも、両者の間に介在する酒販店、飲食店の存在が、今後の日本酒業界の発展の大きいなポイントにもなりそうです。

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