【海外で最も歴史のある「全米日本酒歓評会」の魅力】

欧米で日本酒人気が高まると同時に、海外でも日本酒コンテスト、日本酒イベントが開催される機会が増えているが、今年で18回目を迎える「全米日本酒歓評会」は海外では最も歴史が古く、唯一無二の商業ベースを排した審査会。日本酒の世界的な広がりに貢献している同会のスタートに携わったクリス・ピアス氏に聞いた。

「20~30年前は冷蔵技術が発達してなかったので、海外ではコンディションの悪いお酒がかなりありました。これでは本当の美味しさ、味わいは伝わらない。そこで審査会を開催することで本当の日本酒を広く知ってもらおうと考えたのです」。

第1回は2001年。きっかけは品質の劣化していない日本酒を飲んでほしいというレベルからだったが、ホノルルで日本酒が製造されていた縁や国際酒会顧問の阿部秀雄氏の尽力などで実現。日本から独立行政法人酒類総合研究所(旧醸造試験所)の当時の理事長だった岡崎直人氏や岩田博氏ら8人を審査員に迎えて開催された。

日本で同研究所が日本酒造組合中央会と共催する「全国新酒鑑評会」は1911年から続く、権威ある審査会だが、海外でも同会に準じた審査会がこうして誕生。「透明性」、「公平性」、「確実性」を審査理念に置き、近年、次々と立ち上がった輸出入業者や酒販卸業者、酒販店、酒造会社が運営に関わる海外の審査会とは一線を画した形で毎年開催されているのだ。

出品酒への各審査員の得点とコメントを参加蔵元にフィードバックしている。公正性を証明すると言えば大仰だが、「どうジャッジしたかを、そのまま知ってほしいからです」という。公正性な評価を知ってほしいというのが全米日本酒歓評会のこだわりだからだ。

さらに。日本酒は日本人のものと思いがちだが、海外の日本酒ファンの視点から日本酒を捉え続け、昨年からはあえて審査方法を変更したという。

「多くの審査会では出品酒を酸度の順に利いていきます。そうすると、どうしても糖度の高いお酒、香り豊かなお酒が引き立ちます。

香りが控えめなお酒を豊かなお酒の後に利けば、後者が不利益になります。去年からグルコース(ぶどう糖)濃度順に並べ、香り高いお酒、控えめなお酒を分けて利く方式にしました。正しく評価されるためには、この方法がベターだと思うのです」

このグルコース濃度を考慮した審査方法は、実は高知酵母の生みの親でもある高知県工場技術センターの上東治彦氏が提唱するもの。甘い、香り豊かだけでなく、多様な酒質が評価されるべきだという考えで、出品者や関係者などの大きな注目を集めたという。

商業ベースにとらわれず、日本酒自体の実力で競う全米日本酒歓評会は、ホノルルから、サンフランシスコ、そしてニューヨークへと、瞬く間にアメリカの日本酒業界やファンの間にその名が広まり、一般参加者が出品酒を味わえる日本酒イベントも開催された。

これが「ジョイ・オブ・サケ」というイベントだ。現在、ホノルルからニューヨーク、東京と順次開催され、参加者は計3000人以上と世界最大のイベントに。さらに今年はロンドンでも初開催される。

「海外ではまだ日本酒を好きな人は比較的少ない。でも、酒蔵のリアルな味がわかると、もっと多くの人がファンになってくれると思います。今では『ジョイ・オブ・サケ』を心待ちにしてくれている人もいます」

東京大会は11月7日(水)に五反田TOCで開催される。全国各地の人気レストラン14店が会場で作る14品のアペタイザーと、出品されたすべての日本酒(300銘柄以上)を自由に味わい、ペアリングを楽しめるスタイル。海外発の日本酒イベントが、いかにそれぞれの日本酒の個性を生かしてくれるのかを実感させてくれるかもしれない。

全米日本酒歓評会: http://www.sakeappraisal.org/

ジョイ・オブ・サケ: http://www.joyofsake.jp/

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